Omotesenke
Professor of
Japanese tea ceremony
Chizuko MITSUMORI

ご挨拶

/ Essay随筆

インスタグラムをはじめ、いろんなSNSで写真を投稿していると、撮影機材についてお尋ねを頂くことがあるのですが、撮影はすべてiPhoneです^^。

亡くなった父が写真家だったので、写真はずっと身近なものでした。とはいえ、一度も教えてもらったことはなく。

父自身がただただ写真が好きで独学したひとだったので、放っておいてもそのうち写真はできるようになると思っていたようです。

私は学生時代に初めて海外旅行に行ったのですが、それがヨーロッパでの美術研修でした。1ヶ月半くらいの期間でしたが、この時にはじめてカメラ(EOSだったと思います)とフィルムをカラーとモノクロ合わせて50本くらい持たされました。

初めての海外旅行で、空港での手荷物検査もドキドキです。なのに、父はフィルムはすべて検査時にはX線を通さないように手持ちで説明するようにと。

たくさんの国をまわるツアーにワクワクもありましたが、飛行機に乗る回数も多く、その度に「必ずこれをするように」といわれ、私の不安は膨らみました。

最低でも1日1本は撮れと言われ、友人たちと美術館を巡りながら、何とかノルマを果たし帰国しました。

持ち帰った50本のフィルムたちは現像され、父のチェックを受けると、そのままライトボックスの上をさーっと滑るようにゴミ箱に直行しました。

父からはひとこと「どれもひどいな」と。

思わず一体なにがひどいのかと尋ねると

「何も考えずにシャッターを押している」

「何が撮りたいのか。何を伝えたいのか、まったくわからん」

「何も伝わってこない」

と。

何も教えてもらったことがなかったので、いったい何のことを言われているのか、全くわかりませんでした。

ただ、全部ひどい、と思われていることはわかりました。

じんわりとショックを受け、思わず「そうかなマシなのもあると思うけど」とゴミ箱から拾おうとすると

「拾うな」

と言われました。

以来、写真はスナップ写真以外は撮らなくなりました。見るのは好きで写真集でも美術館でもよく見ていましたが、撮るのは好きじゃなくなりました。

それが数年前に父が亡くなった後、ふとした時に写真を撮りたくなりました。例えば散歩の時に見上げた空。視線の先に見えたお寺の屋根。

それで、持っていたiPhoneでとりあえず撮りはじめたのです。そうして、あちこちで散歩の途中で撮っているうちに写真を撮ることを楽しんでいる自分に気づきました。

そのうちに散歩の間に見かけた景色だけでなく、お茶やお菓子など目に入る自分の好きなものを撮るようになりました。

ここではお茶のイベントや教室、フランス語関連のことについても随時お知らせしたいと思っています。なかには他のSNSで話していないようなことも。

どうぞよろしくお願いします。

またお立ち寄りくださいね。